君がいた夏

夏の終わり 優陽side



「紀衣のやつ、どこいったんだよ」

俺は
午前中にもらった紀衣の電話で
俺の学校からかなり離れた紀衣の学校の近くを走っていた

だが
全く見当たらない

せっかく
菜穂ちゃんに話しができると思ったのに

『優ちゃん・・・どうしよ』

そんな泣きそうな声で言うから
ほっとくわけにはいかなかった


だって紀衣は
ずっと俺を支えてくれてた

小さい頃から
今の今まで、俺を一番理解してくれてた
桐も同じような存在だ

友達とは何か違う
すごくすごく大切なものだった

これ以上ないってくらい
大事にしたい存在だった

菜穂ちゃんに出会うまでは。


菜穂ちゃんに出会ったのは
中3の夏

部活も一番楽しくて
全てが輝いていた

バスケ部だった俺と桐
そのマネージャーの紀衣

3人はいつも一緒だった

「優ちゃん、桐!」
「ん?」
「はい、ポカリ」
「サンキュ」
「ありがと」

紀衣は
まん丸な瞳で
髪は綺麗な茶色のストレートで
上で束ねてる

明るいけど
すごく人見知りが激しかった

けど
その容姿からか

男子の間では
かなり人気があった

「いいなぁ、優陽と桐は」
「なんすか、先輩」
「だって紀衣ちゃんだぜ?羨ましすぎるよ・・・・はぁ」

そんなため息をついて
バスケ部の先輩は去っていく

残った桐と俺は顔を見合わせた

「「ぷっ」」
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