君がいた夏
「最初、俺も桐も具合が悪いか、俺に会いづらいかだと思ってたんだ・・・だけど、違ってた。紀衣が来なかった理由は・・・・紀衣の両親2人とも、亡くなってたからだったんだ」
「・・・そんな・・・・」
「馬鹿だよなぁ」
先輩は空を仰いで息を吐くように呟いた
「幼なじみなのに、その辛さに気づいてやれなくて・・・・ずっと誰よりもそばにいたのに」
「・・・・」
言葉がでなかった
「すぐに紀衣の家にいったら、アイツ仏壇の前で、ただ座ってた。無理して笑って、優ちゃん来てくれたのって、言ったんだ」
かすれる先輩の声
胸が締め付けられるほど痛い
「俺は、その時、そばにいてやらなきゃって思ったんだ。・・・もうアイツには全てを受け止めてくれるやつが・・・俺や桐しかいないんだって思った」
「・・・はい」
「・・・・だから、紀衣についていった。アイツが預けられた場所から近い中学に通って、紀衣を守ってきた。・・・・ごめんな。菜穂ちゃんのそばにいてやれなくて。誰よりも大切にしたかった」
私は首をよこにふり
そして先輩を抱きしめた