君がいた夏
「菜穂ー、これどこ?」
「えっと、右上!」
「はーい」
忙しい・・・・
明日は文化祭。
今は皆装飾をしている
私は実行委員だから、まとめながら自分の仕事をしてる
「高嶋、ここ何色?」
「赤だよ」
「菜穂、ちょっと来てー」
「いや、こっちも来て」
私は
頭に手をあてる
自分が2つほしい・・・
「はぁ・・・・」
一段落して屋上に出る
高くあげたポニーテールがまだ生暖かい風に吹かれ揺れる
「疲れたぁ」
そう呟いて寝っ転がる
目をつぶって頭を休めていたら
「菜穂」
「へっ?!」
急に声がして目を開ける
「川上、くん?」
「歩な」
そう言って笑う歩は、寝ている私の横に中腰で座ってる
寝ながら歩を見上げる
「歩、なんでいるの?」
「もともといたよ。サボってた」
笑う歩
私はなんだか起き上がるのがダルくて寝ながらつられて笑う
「ダメだよ。やらなきゃ」
「へーい」
風に吹かれる歩の髪がゆれる
やっぱり歩は輝いてる
自由で、優しい
「でも菜穂もサボりだろ?」
「あ、バレた?」
「アホ」
そう言って歩は私の頭をなでる