君がいた夏

「疲れた顔してる。何かあったのか?」
「・・・文化祭の準備でちょっとね」
「・・・それだけ?」
「え?」

私は目を見開く

「・・・・それだけじゃないだろ。無理してるっていうか、何か我慢してる」
「・・・っ・・・」
「菜穂?」

私は
滲む景色を隠すように目に手をあてる

「なんで、わかるのかなぁ」
「菜穂」
「なんで、私にもわからないこと当てちゃうの・・・・」
「・・・・」

地面に滲む涙のあと

「お願いだから、当てないで。今は何も考えたくないの」
「・・・わかった」
「ごめんね、歩」


ホントは諦めきれてない
先輩を見つけると、胸がはねる

屋上にくれば
泣きたくなるほど苦しくなる

目があえば嬉しい
だけど同時に
悲しくなる

隣を見てやっと
先輩がいないことを実感する

先輩と話さなくなって何日たったんだろう?

私、先輩がいない時どんな風に過ごしていたっけ?
全てがわかんない

思い出せることなんて
たった1つ。

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