君がいた夏

「菜穂、どこいってたのー?」
「ゴメンね、ちょっと・・・」

私が教室に帰ると
明美が声をかけてきた。

「もうすぐで、うちのクラス完成するよ」
「ホント?」
「うん」

しばらくして
作った看板が教室の外にはられる

一斉にクラスから拍手が出た。

文化祭前日は終わったクラスから下校になるので、皆は早めにクラスを後にする

「はぁ・・・」

私は1人残った教室で窓から空を見上げ、ため息をついた

赤く染まる空をただひたすら見続けていた時

「菜ー穂」
「明美?」

私はふりかえる
そこには手に2つのお茶を持ち、笑ってる明美がいた

「屋上いかない?」
「・・・うん」

私はうなずいて、明美の横を歩く

屋上まで明美も私も口を開かなかった

「ねぇ、菜穂。私ね・・・」
「?」

先に口を開いたのは明美だった

「好きな人ができたよ」

そう恥ずかしそうにうつむく明美

「え。誰々?」

私は身を乗り出す

はじめてだ。
明美が自分から、恋愛トークを話すのは。
ずっと恋に興味がないと思い込んでいたから。

だから
素直に嬉しかった。
明美に好きな人ができたことが。

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