君がいた夏

出るとすぐに誰かと当たった

ドンッ

「きゃっ」
「スミマセン!」

私はしりもちをつく

「大丈夫?」
「はい…」
「菜穂、立てる?」

明美が私の名前を口にして立たせると
その長い髪を横で束ねワンピースをきてる綺麗な私とぶつかった女の人は私の手をつかんだ

「え?」
「あなた、高嶋菜穂ちゃん?」
「なんで、知って…」
「あら、知らない?私、松原紀衣……聞いたことぐらいあるでしょ?」

松原、紀衣って紀衣さんだよね…

なんで、出会ってしまうんだろう?

私はただなにも言えず、紀衣さんを見つめていた
すると紀衣さんは笑った

「優ちゃんに会いたいんだけど、クラス分かんないから、案内してもらっていい?」
「えっ」
「あの、何が狙いですか?」

明美がいきなり口をはさんだ

「いいえ、別に」
「菜穂を苦しめるならやめてください」
「明美、大丈夫だよ」
「でもっ」

私は明美をさえぎって
紀衣さんを見つめ返す

「こっちです。ついてきてください」
「えぇ」

明美もしぶしぶついてくる
私は先輩のいる2―Cを目指す

「ここです」
「ありがとう」

そう言って私がその場を離れようとしたとき

私は初めて神様を恨んだ


「菜穂ちゃん?」


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