君がいた夏

「っ」

私の足は自然と止まってしまう

「優ちゃん!!」
「………紀衣」

先輩に飛びつかんばかりの勢いで、かけよる紀衣さん

「良かった。やっと会えた」
「………あぁ」

小さく呟くと先輩は私を見つめる

「なんで、菜穂ちゃんが紀衣といるの?」
「あ、私が案内してもらったの。優ちゃんのクラスがわからなかったから」

私はただうつむいてた

「紀衣。なんで、俺に電話しなかった?菜穂ちゃんを巻き込まなくたっていいだろ?」
「ちょっと…優ちゃん?」

巻き込む?
私はゆっくり顔をあげる

「もう、菜穂ちゃんは関係ないんだ……。だから、もうこれ以上…菜穂ちゃんを苦しめるのはやめてくれ」

先輩。
どうしてそんなに苦しそうに言葉を吐き出すの?

私は先輩の笑顔が見たい。

「……せんぱ…」
「優ちゃん。そんな怒らないでよ…ごめん」

紀衣さんは弱々しく言うと先輩の制服の袖をつかんだ

「っ」

すると、先輩は一瞬私を見た
だけど、すぐに一回目を閉じて紀衣さんの肩をつかんだ

「わかってる。店に入ろう…菜穂ちゃん、紀衣を案内してくれてありがとう」
「あ…はい…」
「じゃ」

先輩と紀衣さんがいなくなったら明美が私の肩を叩いた

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