君がいた夏
となり
文化祭が終わってから、私は歩とも先輩とも距離をおくようになった。
「・・・・・はぁ・・・・」
誰もいない放課後。
私は日直の仕事をしながら、ため息をつく。
歩に抱きしめられてから1週間。
歩の顔と、腕の強さを忘れられずにいた。
「もー、やだ」
そう呟いて机にふせる
私は、何がしたいんだろ…
誰が好きなのか、わからない。
ただ、少しだけ。
先輩を思うことに疲れてしまった。
「帰ろ」
私は日誌を持ち、立ち上がる。
「あれ」
外を見ると雨が降っていた。
「傘持ってないや」
とりあえず日誌をおきに、職員室に行き靴箱で空を見上げる。
「駅までだし、いけるよね」
私は走り出した。
雨は結構降っていてすぐにびしょびしょになった。
「もうちょっと・・・」
そう口にしたとき
私の足は止まった。
動けなかった・・・・