君がいた夏



「菜穂・・・・」
「先輩は、目があったから仕方なくガッツポーズするしかなかったんだよ」

すると
明美は、私の手をいきなりつかんだ。

「え?!」

どんどん引っ張って廊下に連れ出された。

「ね、明美?どこいくの?」
「先輩のとこ」

淡々と答える明美に、私は目を見開く。

「はぁ?!何いってるの?無理無理!ダメだってば」
「そんなこといったら、いつまでたっても、菜穂は気持ちに歯止めをかけちゃうだけだよ」
「でも、話すことなんて・・・」

そう私が言ったとき、明美が誰かとぶつかった。

「大丈夫?・・・って、城田?」
「川上・・・」

ぶつかったのは、歩だった。
私はこの隙を狙って、その場から逃げようとした。

「菜穂、どこいくの?」
「・・・すいません」

明美が起き上がると、歩は口を開いた

「で?なんで、こっちの方に? 」
「あの、最低最悪な先輩に確かめにいくの」
「明美!」

歩には言う必要ないと思うんだけど・・・
てゆうか、気まずい。

「何があったの?」
「歩・・・」
「聞かせてよ。友達として、役に立ちたいんだ」

そう言った歩の言葉を聞いて
明美が話始める。

「ふーん・・・それは、ただ単に目があったから仕方なくやったわけじゃないと思うけど?」
「そんなの、わかりませんよ?」
「それを確かめに行くんです」
「少なくとも、そんなことできるほど、あの先輩は器用な人じゃないよ」

そう言った歩の言葉に、私は首をかしげる。

「歩、先輩のことそんなに、知ってたっけ?」
「あー、もういいよな」

そう独り言のように呟いた歩。

「ほんとはね、俺、菜穂に告白しようとか、思ってなかったんだよ」
「え?」
「頼まれたんだ。あの優陽先輩に」

私は目を見開く。
どうして?

歩は少し苦笑いをして
話始めた。

「俺が、部活の先輩に用があって2年の階に行ったときだよ。優陽先輩が、俺を見つけて声をかけてきた。なに話されるかと思ったら、いきなり『菜穂ちゃんを守ってやって』って言われたんだ」
「そんな・・・・嘘でしょ?」

私はそれしか言えなかった。
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