君がいた夏
「菜穂、今度こそ。中学とは違う運命を。先輩は菜穂のことを大切に思ってる」
私はゆっくりうなずいて、笑った。
「うん、二人ともありがとう」
そう言って私は立ち上がる。
「菜穂、私たち、優陽先輩を呼んでくるから、菜穂は待ってて。ホームルームも終わる頃でしょ」
「ありがとう、明美、歩」
私は空をあおいだ。
もう。
間違ったりしない。
気持ちを押さえることが
正しいなんて思わない。
私は、この恋心を
ただ、伝えるんだ。
あの人に。
愛しくてたまらないあの人に。
迷ったりしないから。
だから
あなたも、なにもとらわれず
素直な気持ちになってほしい。
もう、苦しまなくていいから。
私がいると、そう伝えたい。