君がいた夏
「ダメです」
私は先輩の言葉を遮った。
「・・・・え?」
先輩は目を見開いて私を見つめる。
「ダメなんです」
涙がこぼれた。
初めて自分の何の嘘もない気持ちを口にする。
すごく怖いけど
でも、伝えずにはいられなかった。
「私は、先輩がいい。・・・先輩じゃないと、ダメなんです。どんなに、冷たくされたって。なにも言わずいなくなられたって・・・」
「菜穂ちゃん・・・・」
「誰かを守るために、傷つけないために、自分を圧し殺してる先輩が、私は・・・」
「好きなんです。大好きなんです」
「!!」
「だから、もう、離れないで下さい。何があっても、私は大丈夫だから・・・だから、もう・・・・・いなくならないで・・・・・」
しゃがみこむ形で私は座り込む。
ただアスファルトに、涙が染みていく。
「・・・・っ・・・くっ」