君がいた夏


ドキドキしながら、先輩をまつ。

しばらくして先輩が下駄箱から出てくる。

「ごめん、待った?」
「大丈夫です」

一緒に帰れるだけで嬉しい。

「じゃ、行こうか」

先輩は当たり前のように手を繋ぐ。

「ホントに・・・」

私は思わず声に出してしまった。

「ん?」
「あ、いえ。何でも・・・」
「何?言ってよ」

先輩は私を見て笑った。

「ホントに、何?」
「っ」

意地悪そうに笑って私を見てる。

「ホントに、恋人なんだなって思って、夢みたいで・・・」

観念して私は言う
多分、今すごい顔が赤いと思う。

「夢なんかじゃない」

思ったより真面目な声が返ってきて
先輩を見ると優しい顔で私を見てた。

「俺も、夢みたいだって思うよ?・・・でも、ここに菜穂ちゃんがいる、手をつないでくれてる。それで、現実だってわかるんだ」

私は握ってる手に力を込める。

「俺もここにいるよ。夢なんかじゃない」

先輩もゆっくり握り返してくれる。

「はい・・・」

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