君がいた夏
「それじゃ、また放課後ね」
あっという間に過ぎていく登校の時間。
こんな短かったっけ、登校時間。
「はい、また」
「放課後までなんて、すぐだろ」
「え」
私の考えをまるでわかっているかのようにニヤリと笑う優陽に私も思わず頬がゆるむ。
「菜穂の考えてることなんてわかりきってるよ、ばーか」
「バカって言う人がバカなんですー」
「は?!先輩に向かってバカだと?」
そんな言い合いをしてると
「朝から元気だねー」
「全くだ」
後ろから聞き覚えのある二人の声が聞こえた。
「明美!歩!」
「おはよー」
「はよ」
先輩は二人の姿を見て、私の頭を軽く叩いた。
「ほら、二人も来たし、早くクラス行け?また、迎えに行くから」
「・・・うん」
「じゃな」
そう手を降って歩き出す先輩
私はその後ろ姿を見送る。
「仲良くしてるみたいで良かった」
「うん」
明美とそんなやり取りを交わしながら歩と3人で
クラスに向かう。
「じゃ、俺ここだから」
「あ、そっか!またね」
「おう」
「じゃあね」
「ん」
歩と別れて、明美と二人になる。