君がいた夏


「って、言われてもなぁ・・・」

放課後、優陽を待ってる時、私はどうやって誘おうか
迷っていた。

恥ずかしいものなんだなぁ。

「ごめん、遅れた」

そう言って教室に顔を出したのは優陽。

「大丈夫です」
「あ、また敬語になってる」
「あ」

私にはこういうことが良くある。
いまだに、なれたものの、先輩と呼んでしまったり
敬語を使ってしまったり…

「ずっと言おうと思ってたんだけど、無理して変えなくていいからな?・・・先輩って呼ばれんのも悪い気しないからさ」
「あ、ありがとう・・ございます」

それは、ありがたいかもしれない。
やっぱり、ため口は少し気が引けてたから。

「すみません」
「いいよ。そんな顔するなって。な?」
「はい」

あ、今なら誘えるかも。
先輩が私の頭を撫でた時私は顔をあげた。

「ん?」
「あのっ・・・」

私の目を見る先輩。

「今度の日曜日・・・どっか行きませんか?」
「・・・・え?」

先輩は目を丸くする。

「あ、ダメなら、いいんです・・・けど・・?」

私は顔を手で隠し始める先輩の顔をのぞく。

「いや、ちょっと嬉しくて・・・俺が誘おうとしてたのに」

先輩は少し頬を赤らめてる。

「意外とやるな、菜穂ちゃん。いいよ、行こ 」
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