君がいた夏

「そうかなぁ・・・。てゆうか歩、詳しいね」
「姉の影響だ」
「あーなるほどね」

そんな他愛な話をして
それから、私たちは一緒にショッピングモールに足を運んだ。

「明美ー、やっぱりキュロットかな?」
「そーだねー。それか、七分丈のパンツかなぁ」

冬ということもあって、結局キュロットにタイツという
コーディネートにした。

「歩、帰っちゃったね」
「気まずいでしょ」

そう明美が言ったのを聞いて、私はなにも考えずに
ふと、口にする。

「ね、明美って歩が好きなの?」
「は?!」

完璧裏返った声で、明美が叫ぶ。

分かりやすっ。

「やっぱり・・・・」
「・・・黙ってて、ごめんね。でも、菜穂には言いずらかったの」
「うん、そうだよね」
「菜穂に当てられるとはなぁ。・・・ちょっと助かった。ありがとう」

そう優しく微笑んだ明美は可愛かった。

「どういたしまして!明美、私の相談乗ってくれた分、私も聞くからね」
「うん!」
「明美大好き!」
「私も~」

そう言って笑いあう。

それから、私たちは別れた。

日曜日になるまでは長く思えたけど
案外あっという間に日曜日はやってきた。


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