Never Magic
注文の品々がきた。
僕と朔はまず、司にやり方を聞いた。
いや、作り方って言うのか。
よく混ぜて鉄板に広げれば、とても良い匂いが漂ってきた。
焼けるのを待っていると、司に話しかけられた。

「倖」

「ん?何…」

「最近悪い魔界人が人間界を荒らしてるらしい。気をつけろよ。朔もな」

「ふーん…何で荒らすんだろうね」

「暇つぶしじゃないのか」

興味なさ気に司は答えた。
人間界のテレビにハマっていて、魔界のテレビなんて見ていない。
魔界用のテレビがあるのだが、僕はほぼ人間界のテレビを見ている。

「あんまりドラマとか見過ぎて影響されるなよ」

「あははwwゆっきーってば諸に影響されてるじゃん」

「悲恋だから良いの」

「お前悲恋は好きじゃないんだろ?」

「人間界のは好き。最後はハッピーエンドだから」

「魔界は違うからな…」

「ありえないよ…魔界のは…」

「ゆっきー真剣に見てたからねぇ」

僕は焼きあがったのを確認すると、小皿に移した。
とても良い匂い。
さっそく食べてみる。
それはまるで夢へと行き出しそうな美味しい味がした。
…何か例えが変だ。
まぁ、気にしないでほしい。
とにかくそんな味。言い表しにくい味なのだ。
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