Never Magic


二歳から四歳。何で五歳までじゃないのかと不思議に思った。
五歳の時の記憶は微妙に残っている。
父さんと母さんの顔を見て嬉しくて飛びついた。
父さんと母さんは僕をぎゅっと痛いほど抱きしめてくれたのを覚えている。
他の王子達もいて、僕に寄って集って抱きしめあった。
…あの記憶は誘拐の事と何か関係があるのだろうか。
僕が誘拐され、あの後、僕が何故ココにいるのか。
どうして今、こうして生きていられるのか。
そして、リアが言った『魔界に存在しない』Never Magicって、いったい…。
僕は、人間界で何があったんだ。
思い出せない。何も。
小さい頃の記憶は中々思い出せないもの。
四歳ですら覚えてない。
唯一覚えているのは、五歳の誕生日後である。
…いろいろ考えていくうちに、足が止まっていた。
進むのを拒んでしまっているのだろうか。
リアは時間がないと言った。
早く進まなきゃあの続きが見れない。
僕は重くなってしまった足を持ち上げ、前へと進む。
進んで行くと、スクリーンが見えた。
僕はスクリーンを目指して歩いた。
そして、またスクリーンの目の前の椅子にやっと座る。
この道のりがとても長く感じた。
すると、何処からともなくリアが姿を現していた。

『やぁ。来たね。震えているね。どうする?それでも見るの?』

「………」

『おやぁ、最初の意気込みは何処へいったんだい?やはり、過去を見るのが怖くなったんだね。無理はしない方がいいよ』

確かに、怖くなった。
無理はしたくはない。けど、見たい。
不安と見たさと気持ちが混ざり合う。
気持ち悪い……。

『さぁ、どうするの?時間は過ぎてゆく』

「……見ます」

『そう、見るんだね』

そう言うと、姿を消してしまった。
そして、辺りが暗くなりだす。
スクリーンに映像が映し出された。
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