Never Magic
『…や、やった。研究が…成功した!!』
『やったな!これで俺らは有名人だ!』
彼らのうち一人が僕を抱き上げる。
僕は今にも死にそうな感じだ。
僕の過去がこんな事になっていたなんて知らなかった。
何故父さんや母さんは教えてくれなかった?
そうだ、朔や司も。
今まで皆どうして教えてくれなかったの。
僕を傷つけなくする為?
じゃぁ…本当にNever Magicは魔界にはなくて、この人達が作った魔法なの?
混乱した頭が痛い。
『魔力が尽きない代わりに、寿命が少し減ったがな』
『それは構わないさ。この子には沢山役に立ってもらわなきゃな』
彼らは僕を抱きかかえたままそんな話をする。
この後、僕はどうなってしまうのだろうか。
そう思った瞬間だった。
誰かが僕を彼らから横取りした。
また、知らない人。
でも、何処かで会ったような人だ。
『誰だ!』
『この子は、返してもらいます』
あ、思い出した…僕が森の中で聞こえた声の主にそっくりだ。
この人が……。
『貴様、魔界人だな。っチ、もう嗅ぎ付けてきやがったのか』
『返せ!我々の邪魔をする奴は容赦しない!』
『……』
僕を抱えた人は、無言で煙球を取り出すと、彼らに投げつけた。
爆発して煙が舞う。
そして、僕を抱えた人は空へと飛び立った。
そこで気を失っていた僕は目を開けていた。
一瞬、見ただけで目を閉じてしまう。
そして、彼に連れて来られた場所は、元いた魔界。
僕はその魔界の、僕の家の近くにある公園のベンチに下ろされた。
思い出した。
僕はそこから目が覚めて、自ら歩き出して、母さん達と合流した。
母さんは僕に抱きついた。痛いほど。
それがあの記憶だ。
母さんの顔を見れて、嬉しくて、嬉しくて…。
『…さぁ、これにて終わりです。時間がきてしまいましたから』
「また……会えますか…」
『機会があったら会えるかもしれません。そうそう、覚えておいてくださいね』
「…?」
『これは悪魔で夢です。信じるか信じないかは貴方次第ですから。それでは』
僕はそこで意識がとんだ。