未来へのボール*SUMMER*

何で。何で先輩が謝るの?


正直に言わないあたしが悪いのに。

正直に言えないあたしが悪いのに。


先輩が謝る必要なんて、

どこにも無いのに。


「…でも。聞きたい。」


「……………え。」

サクト先輩が、真っ直ぐ

あたしを見据える。


漆黒の澄んだ透き通るような瞳に、

目が離せなくなる。


「お前が嫌だと言っても、

俺は本当の…真実を聞きたい。」


「…………っ……。」

そんなこと。

そんなこと、真っ直ぐ言わないで。


吐き出したくなる。

すがりたくなる。


「…ごめ…なさ…。」


「…俺は信用出来ないのか?」

違う。

あたしは必死に首を横に振る。


怖い。怖いんだ。


「…まだ…言えない…です。」

勇気が無い。





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