未来へのボール*SUMMER*
『―――。』
暗闇の奥から、微かに光が差す。
聞こえない。
何て言っているの?
まだあたしはうずくまる。
ずっと下を向いている。
ずっと、このまま、いるんだろう。
『―――る…。』
誰?
『―――ラル…。』
『…?』
今、聞こえた気がした。
思わず、顔をあげたくなった。
光が、辺りを照らしている。
『……何で…。』
いつの間に?
誰が照らしてくれたの?
『――ラル。こっちに…。』
こっち?どっち?
あたしに、道は分からないんだよ。
道は、照らされていた。
でも、怖い。
ただ、ここにいるのは、
もっと怖いんだ。
あたしは、走る。
光が、漏れるあの方向に。