未来へのボール*SUMMER*
―――休憩の残り時間が5分を切った。
ラルは、まだ来ない。
《ジー…ジー…》
体育館は、静かで。
虫の鳴き声が響く。
ラルは、来ないのだろうか?
いや、絶対に来る。
「――すみませんっ。遅れましたっ!」
ホラ、来たじゃん。
「お前…何してたんだよ?」
「へ?な、何って…アップ?」
……………アップ?
「お前…1時間近くアップしてたのか?」
「いや、走っただけ…。」
1時間かけて…。
「張り切り過ぎだし(笑)。」
「なっ…。最近運動してないからで…。」
「分かった分かった。」
思わずラルの頭を撫でる。
あ、なんかヤベェな。
ラルの髪の毛が、気持ちいい。
「ちょっ…サクト先輩!?」
焦り気味のラルが、可愛く見えて。
つい笑顔になってしまう。