未来へのボール*SUMMER*
「……………別に理由なんて無い。」
下を向いて答えるラル。
その姿は何故かとても哀しく、切なく、
そして辛そうに見えた。
―――見ていられなかった。
《グイッ》
「ぅわっ。」
俺はラルの腕を掴み、
自分の方に引っ張る。
よろめいたラルの身体を、
肩を持って支える。
「………先輩?」
俺を見上げるその姿に
とてつもない愛しさを感じる。
………愛しさ…?
「もうすぐ試合始まっから。
ユニホームに着替えてこい。」
「あっ…はい。」
「はい、ラルこれ。」
マナのユニホームをシノが渡す。
「…じゃあ…着替えてきます…。」