希翼[キオク]
―――――――
どれくらい時間がたっただろう・・・
あたりは
静けさをまとい
ちがう怖さが
あたしをつつむ
さっきの
男は
どこへいったんだろう
あたしがいることは
ばれなかったのだろうか
怖すぎて
怖すぎて
目をつぶっていた前後の記憶が
まったくなかった
あ・・・
翼・・・!!!
あたしは翼の存在を思い出し
さっき窓から見えた一階の教室の景色の残像が
頭の中によみがえってきた
どうか無事でいて・・・
あたしはそう強く願い
立ち上がった
翼を
探しにいく
.