ライオン
「だから、私の名前は湊だってば!」

健次は焦ったように湊の肩を掴み、姿勢を低くし、湊に視線を合わせる。

「下の名前はどうだっていいんだよ、苗字だ!
お前の苗字、もう一回教えてくれ!」

健次の剣幕にさすがの湊も少し驚いていたが、すぐに口を開いた。

「……神、神様の神って書いて『じん』だよ。
確かに珍しいけど、そこそんなに食い付く所?」

偶然!?いや、これが運命と言うやつか。

健次は覚悟を決めるように大きく息を吸い、そしてゆっくり言葉を吐き出した。

「祐太を……、神祐太を、知ってるか?」
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