ライオン
しばらく2人の間には沈黙が続いたが、湊がふと呟いた。

「……違うわよ」

「ん?
何か言ったか?」

「私はあの病院に入院してただけで、『お兄ちゃん』はいない」

健次は湊の衝撃的な発言に耳を疑った。

「ま、マジで言ってんのか!?
じゃぁ、お前誰なんだよ!!」

健次の声に、再び2人は他の客から視線を浴びるが、湊はもう気にする事もなく、淡々と喋り続ける。

「何度も言わせないで、声が大きい。
話は最後まで聞いて。
私には裕太って『お兄ちゃん』はいないの。
同じ名前の『弟』ならいたけど」

「……は?……はぁ!?」
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