ライオン
その時、脳裏に雄太の何気ない言葉が思い出される。
『俺さ、姉貴がいるんだ。
どうみても、小学生ぐらいにしか見えないけどな』

『確かに言ってた……』

「じゃ、じゃぁ、雄太の?」

「姉です、よろしく」

今の状況を簡単に現すなら、混乱と動揺がピッタリだろう。

何とか搾りだした台詞がこれだった。

「は、早く言えよ!」

「何言ってんの?
健次が勝手に失礼な勘違いしてただけじゃない」

「すいませんでした」

俺は座ったまま頭を下げる。

「まぁ、慣れてるからいいけどね。
それより、さっき言ったのって本当?」

「さっきのって?」

「私の為なら死ねるとか?」
< 23 / 47 >

この作品をシェア

pagetop