ライオン
健次は真剣な表情に戻る。
「あぁ……、その言葉に嘘はねぇ。
それだけの事を俺はしたんだ」

健次の言葉に湊は呆れたようにため息をつく。

「健次が殺した訳じゃないのに?
悪いのは強盗でしょ。
自己犠牲とか……」

健次は湊の言葉を遮り、怒鳴る。

「そんなこと判ってんだよ!
強盗が悪いさ!自己犠牲なんて意味わかんねぇよ!

ただな!、あの場に居なかった奴が……、それを言うんじゃねぇ!!」

「あの〜、お客様。
もう少しお静かにお願い出来ますか?」

騒ぎに見兼ねたんだろう。
健次たちの席の前に店員が近づいてきた。

「すいません、もう出ますから。
行こう、健次」

湊が席を立ち、トレイをまとめる。

健次は返事こそしなかったが、続くように席を立った。
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