ライオン
湊に半ば強引に連れて行かれた先は、二人が最初に出会った公園だった。

「戻って来てるじゃねぇか。
こんな場所で何すんだ?」

「私ね、公園で遊んだ事無いんだ。
ずっと病院だったからね。
だからこれが、2つ目のお願い」

「公園で遊ぶのが、か?
勘弁してくれよ。
ガキじゃあるまいし」

「あら、断るの?
これでも気を使って、安く済ましてるんだけど?」

そう言って湊は不敵な笑みを健次に向ける。

「……はいはい、何して遊びますか、お嬢様?」

「そうこなきゃね!」

湊は声を弾ませながら、公園の遊具に向かって駈けていく。

健次は湊の後ろ姿を見ながら、考えを巡らせる。

(てか、本当に年上なのか?
けど、雄太は確かに姉貴がいるって……。
いや……、何か記憶が曖昧だな)

健次は思い出そうとするが、どうにも思い出せなくて考えるのをやめた。

(まぁ、そのうち思い出すだろ)
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