ライオン
湊もブランコから離れ、俺の隣に座る。

「ノリ悪いわね、健次って。
まだ遊び始めて10分ぐらいしか経ってないじゃない」

「悪かったな、ノリが悪くて。
俺は柄じゃない事は、やらない主義なんだ」

湊はそんな俺の言葉を聞いて、あからさまに不満そうな表情を浮かべた。

「何よ、その人生悟ったような台詞。
おっさん臭いわね」

「誰がおっさんだ、誰が。
俺は今年18になったばっかりだ。
そういや、お前はいくつなんだよ?」

「私?私はね、う〜んと……」

そういうと湊は、目を閉じ眉間に皺(しわ)を寄せる。
考えているようだ。

「何で考えてんだよ。
自分の歳ぐらいわかんだろ?」
「今年って西暦何年?」

「はぁ?今年は2006年だけど」

湊は俺の答えに、また眉間に皺を寄せ、やがて思いついたように目を見開いた。
「うん!今年21だ!」

「……お前、歳誤魔化してないか?」

湊は焦ったように首を横にふる。

「ち、違うわよ!
ちょっと、度忘れしただけ!」

……怪し過ぎるだろ。
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