ライオン
俺の眼前には、完全に気を失っている強盗と、怯えた店員。

足下には、あの時と同じ黒光りした銃。

「もう……、いいか」

誰に言う訳でもなく一言呟くと、銃を拾い上げこめかみに銃口を向け、構えた。

引き金に人差し指を添え、力を込めようとする。

不思議と恐怖は無かった。

これでいいだろ、雄太?

お前はきっと怒るだろう。

赦してはくれないだろうが……。

それでも人はいずれ死ぬ。
早いか遅いか……。


些細な違いだ。

そうだろ?
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