ライオン
「健次!!
止めなさい!!」

カチ!

湊の悲鳴にも似た制止の声と同時に、引き金を強く握る。

カチ、カチ、カチ。

しかし、銃は俺を嘲笑うように、何度引き金を引いても弾は出ることはなかった。

「……弾は、一発だけか。
くだらねぇ」

ガシャ!

銃を床に投げ付ける。

「行くわよ」

棒立ちになっていた俺の隣には、知らぬ間に湊が立っていた。

「行くって……、どこに?」

「どこでもいいわよ!
ここにいるくらいならね。
早くして!」

そう言って、湊は引きずるように俺の腕を取って外に出た。
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