威鶴の瞳
浅い過去はいらない、と、丸三年をすっ飛ばす。
そして冬の乱闘を探す。
──あった、この辺り。
高校生の男たちが大人数で乱闘している。
その中にトーマの姿もあった。
そして写真で見た男も……髪は写真より短いが、見付けた。
ただ、こちらを向かない。
一瞬でいい。
そして本当に一瞬、睨むようにこっちを向いた男に──乗り移る。
今度はその頃からの三年未来、つまり現在まで戻る。
そしてようやく、掴んだ。
「トーマ、ビンゴ」
それだけ言って、俺は続けて見る。
どうやら強盗犯が電話をしている所に偶然にも遭遇。
そして襲われた。
抵抗はしたが、視界が大きく揺れる……恐らく後頭部を殴られでもしたんだろう。
そしてパタリ、視界が途切れた。