威鶴の瞳
ただ、あの女……依頼人の女と違ったのは、途中で意識が戻ったこと。
薬で意識が途切れたわけじゃないから、気が付いたのか。
車の窓から見える、空の景色。
建物も少し見える。
上を通過する電車が見え、すぐに景色が止まり、パッと目をつむった。
どうやら着いたらしい、そして、意識がないフリをしたんだろう。
「トーマ、絞れた。8~10両編成の緑の線が入った電車、道路上を通過する位置」
「すぐ周ベさせる」
それ以降は、依頼人の女と同じく真っ暗。
同じく殺す気はない。
とりあえずここで彼の未来を切り、八坂の過去も切った。
「……電車がなんだって?」
とてつもなく不満そうな声が響いた。
「占いじゃなかったのか?」
「お前ら二人は永遠の愛を誓うだろう。よかったな。以上!」
「それ本当に占いか!?テキトーだろ!?」
なぜバレた。