威鶴の瞳
困った、熱い、これは結構熱が出ている。
体温計……そう思い、重たい体を起こすと、グラリと視界が揺れる。
頭まで、重い。
そしてとにかく、アツイ。
重い体を引きずって体温計を取りに行くが、思うように体が動かない。
ユラリ、ユラリ、不安定な足取り。
ようやく薬箱の中に入っている体温計を取り出し、壁にもたれて座り、体温計を脇に当てる。
瞼までもが重いとはどういうことだ?
さっき起きたばかりだというのに。
だるい、重い、痛い……意識が遠のく直前に、ピピピと鳴った機械音。
脇にあるそれを取り出し、その数字を見る。
『37.5℃』
思っていたよりも低いのは、寝起きだからだろうか。
熱になるエネルギーすら摂取していない。
飯を食って薬を飲んで、病院――行けそうなら行こう。