威鶴の瞳
よかった、形上だけでも『占い』で。
占いならどうとでもなる。
一つ、安心のため息をついた。
「そうなのか。……やっぱアイツはすげーな」
そう言って私から少し視線を外して微笑むトーマ。
すごくないよ。
すごくなんてない。
人を傷つけるものは、すごいなんて言えない。
トーマは傷つく。
威鶴がトーマの過去を見たこと、言ったら傷つく。
それなのに、自分が傷つく可能性がある、過去を見る能力と表裏一体の未来を見ること、トーマは躊躇いなく見せてくれる。
ほんの数分後の未来でも、この能力を恐れていない。
そして、威鶴への信頼があるからこそ、未来を見せてくれる。
威鶴の未来を、手助けしてくれてる。
「竹原透眞さん」
「あ……?」