威鶴の瞳
ボーっとしていたトーマが、私を見る。
私を視界に入れる。
でも過去は見ない。
トーマの過去も、イタイ、から。
「来てくれて、ありがとう」
「あ、いや……暇だったしな」
「それでも嬉しい。少し楽になりました」
「そーか」
ふっと笑う、トーマ。
ううん、透眞。
私の知らない透眞を見せる、君。
これが、普段の女の子に対しての透眞、か。
甘い。
甘すぎるよ、透眞。
いつもの目力、どこ行っちゃったの。
「食欲、あるか?」
「え?あ……たぶん」