威鶴の瞳


そう言うトーマに、心が温まるような、ほんわかとした気持ちになった。



「ありがとう」



そして知る。



「透眞さんには、こういう時に看病とかしてくれる人が、ちゃんといたんですね」



トーマと私の、『違い』。

暖かな環境で学ぶ、優しさ。

支え方、支えられ方。



そこにある『無条件の愛情』。



言ってしまった、小さなやきもち。



「私にはね、いなかったかな」



いたかな。

いなかったな。



忘れた?

なかった。



「なくなった、かな」



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