威鶴の瞳
ちゅるちゅる、ちゅぷん。
もぐもぐ、もぐもぐ。
辺りは、私の音しか発されていない。
「ごちそうさまでした」
私は空のお皿を見て、そう言った。
そして薬に手を伸ばす。
「『いなかった』……って」
薬を水で、流し込む。
「『なくなった』って?」
ごくごく、流し込む。
体温計を取り出して、胸のボタンを1っ開け、そこから脇にさしこむ。
ふぅ、また、ため息。
「これが鳴るまで、一人言をしようかな」
そう言って私は、窓に目を向けた。