威鶴の瞳





そして占いをしない『占い師』になった。



誰に会っても気付かれないように、変装をして。

幸い、私の名前を知る人はいなかったから、そのまま本名で占い師になった。



『魔女』



みんな私をそう呼んでいたから、本名なんて覚えている人はいない。



魔女。

まじょ。

マジョ。



──私は、そんな万能なものですらないのに。



高校を辞めて、私が占い師になって2年が過ぎた頃。

それが人生最大の……私が壊れるほどの、出来事だった。



「ただいま」



そう言って突如帰ってきた姉。

その声に反応して、勝手に動いた体。
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