威鶴の瞳
『私』を認識する、ただ一人の姉。
『私』に笑いかけてくれていた、ただ一人の姉。
──なのに。
「……え、誰?」
「……」
「なんでこの家に居るの?私のお父さんとお母さんは?どこにやったの?どこにいるの」
「……ちづ──」
様子が、おかしい。
「勝手にこの家に住まないで、出て行って、お父さんとお母さんを返してよ」
──脳内消去されていた、私。
後ろから見知らぬ男性が姿を現した。
「……あれ、妹さん、かな?」
私に向かって、ポツリ、聞く。