威鶴の瞳
ベッドに潜り、目を窓の外へと向ける。
依鶴……元の人格の依鶴とは、コンタクトは取れない。
それどころか、私たちを認識すらしていないだろう。
だから怖い。
知らないうちに、消されてしまいそうで。
私は、眠るのが、怖いから……。
眠る時は大抵、威鶴を頼ってしまう。
「男スイッチ、on」
ポツリと呟かれた言葉を合図に、俺が表に現れる。
驚いた……としか言いようがない。
依鶴がトーマに毒されてる。
やめろ、確かにアイツは信頼出来るし、アイツしか今の俺にはいないが……まあ、レインもいることはいるが。
アイツは言ってしまえば乱暴で大雑把で俺様要素まで入ってる。
絶対に面倒なことになる。
それより、手握るって。
手握るってどういうことだよ?