威鶴の瞳
ただし、精神面を操作するとなると、また違った問題になる。
いくら俺が過去を使って脅そうとしたところで、この能力自体の見方を変えさせられれば、俺は勝つことはできないだろう。
この能力自体が俺にとっての弱点でもある。
そんなことは俺の過去を見なくても、想像できることだろう。
きっと俺とマサルが戦ったら、俺は負けた上に精神の傷をえぐられることになる。
精神というものはそれほど脆いのだ。
精神が崩れれば、そいつの持っているもの全てが崩れる。
そう言っても過言じゃないだろう。
その上おそらく、雷知によって犯人の過去情報も割り出されてネタにされているはずだ。
二人が揃えば俺たちよりも恐ろしい武器となる。
「マサルさんてあのすっげー話しやすい人っすよね?」
トモがトーマに聞く。
「あぁ、お前ら会ったのか」
「はい、助けられた時に。そこで寝てる子もあの時はすっげー泣いてたんすけど、マサルさんがなだめて、いつの間にか寝てたっすし」