威鶴の瞳
「今回被害を受けた方々も、無事で何よりです。それでは依頼人の渡辺春さん」
「はい?」
「こちらにサインをお願いします」
「あぁ、はい」
渡辺春は周りのだれが見てもご機嫌だとわかる顔で、依頼完了のサインをした。
「皆様の会員登録はすでに済んでいますので、また何かあればいつでもBOMBに足をお運びください」
そこでちょうどノックが鳴り、見送りの男が迎えにきた。
「出口までは彼に付いていってください。それではまたのお越しをお待ちしています」
そう言われた後、俺たちと雷知の膝で寝ている子以外はみんな席を外した。
「レインさん、この子どうします?」
「そのうち母親がくるわ。悪いけどもう少しそこで寝かせてあげておいて」
「了解です」
雷知は子供の頭をなでながらそう言った。
どうやら子供は好きらしい。