威鶴の瞳
「こちらとしたら、争う気はないんだけど。奥に通してもらえませんかね?」
「通すわけないだろ」
真ん中の奴がニヤリと笑う。
「それじゃ、しかたない。トーマ」
「はいよ」
それを合図に、俺は右、トーマは左に走る。
瞬時に動いたのは一番外側にいた、つまりさっき果物ナイフを投げて来た奴と、もうひとり。
再び投げる音と共に、今度は飛び避けて振り向く。
トーマの方では、すでに攻撃を仕掛けたところらしく、相手の方が足を受け止めたところで静止している。
「行かせねえよ。つーかなんで知ってんだよ」
目的が分かったらしい。
こいつは、パスワードを入力するには邪魔だ。
だから厄介だと言った。
飛び道具を持っているとすると、何も持っていないこちらとしては不利だ。
それに、的中率も低い。