威鶴の瞳


そう思ったのは俺だけではないらしく、全員の視線が雷知の膝で寝ている子にそそがれた。



「お母様、ですね?」



レインのその言葉で確信となった。



「……すみません、レミは一体……」



女の子は雷知に膝枕されて寝ている為に、机より下にいるため、見えないんだろう。

その上、マサルが雷知の隣に座ったことによって完全に姿が隠されている。



それに気付いたマサルは席を立ち、母親に子供の姿を見せる。



「レミ!」



そう言って近付いた母親は、レミちゃんの寝顔を見て微笑む。



「寝ていたの」



そっと頭をなでて、『失礼』レミちゃんを抱き上げた。



「ありがとうございました、本当に……どう感謝したらいいのか……」



そう言ってお母さんは頭を下げた。
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