威鶴の瞳
対して相手は音から察するに、体のあちこちにいろいろなものを隠し持っている。
まるでマジシャンの種のように。
果物ナイフは、さっきのものとあわせて3つ。
そのほかに針やらカッターやらライター、タバコ……いや、これは武器にしないだろう。
金……500円玉まである。
これは買い物に行く時手ぶらなタイプだな。
針も、これは裁縫針か。
なにを持ち歩いてるんだ。
お前は女子高生か。
女子高生でもそうそういないけどな。
「おい陽、なーに見つめられてんだ?」
八坂って奴が、目の前のコイツに後ろから話しかける。
視線をずらしてトーマを見ると、少し苦戦しているらしい。
「知らねぇよ!勝手に変な眼で見てきやがる!意味わかんねぇ!」
あぁ、少し眉に力を入れ過ぎていた。
コイツ変なものしか持ってないから。
それとケータイ、ウォークマン、紙の束……手帳かメモ帳?