威鶴の瞳
ガチャリ、鍵を開けて部屋に入る。
その後ろからトーマが付いて来る。
ワンルームとかじゃなくて助かった。
リビングと寝室の間の廊下もドアで仕切れる。
「ソファーにでも座ってて」
「ああ」
現在朝の4時半……トーマが居ると寝づらいな、かといって今依鶴に変わるのも……ん?
スースー、小さく聞こえてきた音に、ソファーを見る。
──寝てやがる。
そこには、ソファーに座った体勢のまま、寝息を立てているトーマ。
……そういえば、普通の人間なら眠いに決まってるよな。
トーマが寝てくれたことによって、打開策が決定。
まずトーマが起きた時に俺が実家に帰った事にするために、置き手紙を書こう。
『俺は実家に戻るから、お前は依鶴が起きてくるまでそこにいろ。
7時頃には起きるはずだから。
トーマの事は依鶴にはメールで伝えておく。
威鶴』
あくまでトーマが先に起きた時前提でメモを残し、俺は寝室に行き、鍵をしっかりとかけて、さて、寝よう。