威鶴の瞳


「ナイフも護身用程度だろう。高校生がたばこを吸うな。いっちょ前にジッポーなんて持ち歩きやがって」



その場にいたトーマ以外の全員が凍りついた。



「お前、見せたのか?」

「見せるわけねーだろ!?吸ってもねーのに」

「右ポケットに500円玉、裁縫セット胸ポケットにケータイ、たばこ、左ポケットにウォークマン、紙の束」

「……お前、本当になんなの?」



いい感じに怯え始めた陽。



「おい陽」



そう呼ぶ八坂にも、一つバクチを落としてやろう。



「発情期の奴までいるなぁ……胸ポケットにゴムなんて入れて」

「な……!!」



八坂の残りの取り巻きの内、一人がそう声を発した。

そう、お前だ。



あとは……ん、この音は……液体?

小さい液体……コットン、リップクリーム……化粧品類を持ち歩いてる奴がいる。

誰だ……?

< 19 / 500 >

この作品をシェア

pagetop