威鶴の瞳
「ナイフも護身用程度だろう。高校生がたばこを吸うな。いっちょ前にジッポーなんて持ち歩きやがって」
その場にいたトーマ以外の全員が凍りついた。
「お前、見せたのか?」
「見せるわけねーだろ!?吸ってもねーのに」
「右ポケットに500円玉、裁縫セット胸ポケットにケータイ、たばこ、左ポケットにウォークマン、紙の束」
「……お前、本当になんなの?」
いい感じに怯え始めた陽。
「おい陽」
そう呼ぶ八坂にも、一つバクチを落としてやろう。
「発情期の奴までいるなぁ……胸ポケットにゴムなんて入れて」
「な……!!」
八坂の残りの取り巻きの内、一人がそう声を発した。
そう、お前だ。
あとは……ん、この音は……液体?
小さい液体……コットン、リップクリーム……化粧品類を持ち歩いてる奴がいる。
誰だ……?