威鶴の瞳
朝からこんなにワタワタするとは……。
「ごめんなさい、朝から慌ただしくて」
「いや、こちらこそ……」
どうしよう?
とりあえず……メイクまではして来ようかな。
髪も乾かさないと。
「あ、えっと、もう少しだけ待っていてくださいね」
「あぁ」
脱衣場で髪を乾かし、寝室で着替え、メイクをする。
終わった頃には八時半、まだ余裕はある。
……と、なんとなく急いで用意をしていたけれど、トーマは一体何のために家に来たんだろう?
威鶴からは、いきなり言いくるめられたとしか聞いてない。
特に理由はないとか?
ただ眠かったから家で寝ようと思ったとか?
会うだけなら占いの所でもいいはずなのに……。
よくわからないけれど、とりあえずリビングへ向かった。