威鶴の瞳
そう思い、帽子を深くかぶっている奴に視点が定まる。
「女がいるな」
「は?お前何言って……」
「トーマ!帽子飛ばせるか?」
「おーよ!」
トーマが相手にしている敵を思い切り帽子野郎に向けて飛ばし、そいつを巻き込む。
パサリ、帽子が落ち、素顔をさらけ出す。
髪は、女にしては短いが、男としては長い。
顔は中性的。
服は学ラン。
背は165くらいで、十分男としてごまかせる。
トーマをジッと睨む帽子野郎。
やり合っていた奴はすでにKOしている。
帽子野郎の殴りつく手首を掴み、両手を拘束して左手に固め、シャツの胸元を掴んだ。
そのスピードは速かった。
「いや……!!」
――かかった。